見えない裏側矯正

裏側矯正(舌側矯正)とは

裏側矯正(専門的には*舌側矯正と呼びます)は、歯並びや咬み合わせを、歯の裏側に装置を装着して他人から見えない状態で歯並びをキレイに並べる治療法です。

*舌(ベロ)の方にブラケットを付けるので、舌側矯正と呼びます。

表側の矯正治療と比較してみると・・・

左側が表側の矯正。右側が裏側矯正です。

外目には矯正治療をしていることが分かりません。裏側矯正なら、“こっそりと内緒で”矯正治療を進めて、気付けば、歯並びが良くなっていた!ということが可能です。

裏側矯正の難易度

矯正治療の難易度は、
子どもの矯正 < 大人の矯正(表側矯正) < 大人の矯正(裏側矯正)
です。その難易度ゆえ“矯正の専門クリニックでも、裏側矯正は行っていない”場合もあります。

カスタムメイド矯正装置

当院で裏側矯正を行う場合、カスタムメイド矯正“装置”を使用します。各患者さんの歯に合わせオーダーメイドされた裏側の矯正装置です。歯の裏側は、表側よりも形が複雑です。そのため今までの既製の装置ではどうしても厚みがでてきてしまいました。CAD/CAMシステムにより患者さん個人の歯に合わせ、口腔内の違和感が極力少なくなるように限界まで薄く作られています。
違和感や痛み、発音障害が軽減されています。

カスタムメイド裏側矯正歯科装置の特徴(利点と欠点)

3Dスキャン技術により、装置の位置決めが正確になり、治療期間が短くなります

ブラケットポジショニング(矯正装置の位置づけ)は、非常に重要です。特に裏側では装置を付ける位置にエラーがあると、唇側に装置をつけるよりもの5倍以上のエラーが発現することがあります。
患者さんの歯型を3Dスキャンコンピューターにより精密に計測するため、ブラケットポジショニングの誤差がなくなります。結果として無駄無く正確に歯が並ぶため治療期間の短縮につながっています。

精密なワイヤーを使用して歯を正確に移動

舌側矯正では、矯正歯科医にとってワイヤー屈曲は技術と経験のいる作業でした。歯の裏側の歯面に沿ったワイヤーの形態は複雑なため、矯正歯科医によるワイヤー作製(曲げる時間、治療時間)に長時間が費やされました。

また、人の手によるもののため、異なるワイヤーで同じ形状のワイヤーをつくる再現性には限界があり、ワイヤー交換のたびに、歯に不必要な動きが生じて、歯にも負担がかかり治療進行が遅くなる原因にもなっていました。

システムでは、コンピューターが患者さんの歯型の模型を3次元的に解析して(3Dスキャン)その位置情報から、ロボットがワイヤーを作製していきます。ロボットが作製するワイヤー形状は、太さの異なる最初のワイヤーから最後のワイヤーまで全く同じ形状でコピーして屈曲されており、誤差は極めて小さく正確に形態が再現されています。そのため、歯はむだな動きなく理想的な位置に並べてゆきます。

理想的な前歯の傾斜バランスに治療

前歯の前後的傾斜は、矯正用語でトルクと呼ばれており、患者さんのバランス良い横顔と深い関係があります。つまり前歯の前後的傾斜度は、患者さんの口元の審美性に大きな影響を与えるのです。
前歯の前方傾斜度が強ければ出っ歯の傾向になりますし、後方傾斜度が強いと口元は後退しすぎる感じに見えます。
適正な前歯部の傾斜度は、きれいな横顔をつくるキーなのです。
前歯の前後的傾斜度を正確にコントロールすることが可能で、理想的な前歯の傾斜度を与える情報が計算されて作製されています。

虫歯になるリスクの低下

舌側矯正治療中の虫歯のリスクについて、多くの患者さんから質問を受けます。
舌側矯正は見えない部分に装置がついているために、歯磨きが十分にいきとどかないで虫歯になりやすいのでは?ということです。

調査結果では、舌側矯正で治療した患者さんの虫歯発生率は、唇側の矯正装置で治療した患者さんの、約1/5という結果でした。

理由は…

  • ◆ ブラケットのベースと歯との境界部が、スムーズに移行しているため、プラークが付着しづらい。
  • ◆ 舌側歯面をカバーする面積が大きいため、汚れから歯面保護されている
  • ◆ 舌側は、唾液による自浄作用が活発なため、汚れが着きにくい

などが考えられています。
このことから虫歯罹患率の高い、若年者(小学生、中学生の年齢層)にも積極的に行えます。

装置が壊れにくい

ブラケットベース面は、従来型の舌側矯正ブラケットに比べて大きいため、接着面積が大きくなるため歯への接着力は強くなります。治療中にブラケットがはずれますと

  • ◆ ブラケットのはずれた歯は移動しなくなり治療進行が遅れる。
  • ◆ はずれた箇所の装置が動いて舌にあたり、口内炎などの痛みがでることがある。

などの不具合が生じますので、この点でも有利になります。

写真は、Dr.Wiechmanとヨーロッパ矯正歯科学会にて撮影。

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