子どもの矯正は、専門的に「一期治療」や「準備矯正」などと呼ばれています。矯正治療というと、以下の写真のような装置を使用することをイメージされる方が多いですが、実際は異なります。一体、何が違うのか?をご説明いたします。
歯科検診などで、「矯正の歯医者さんに行って、お子さまの歯並びについて、一度、診てもらってください」と言われた保護者様が多くいらっしゃるかと思います。歯科検診では、以下の基準を元に学校歯科医が判断をしています。
歯科検診にて、「【1】要観察」または「【2】要精検」と判断された保護者さまは、
早めに一度、矯正専門医の受診をおすすめします。
矯正歯科医に相談することで、次のことが明確になります。
以上のことについて、当院では、初診相談を行っています。先延ばしにして良いことはありません。指摘を受けたり気になったなら、早めに、初診相談の受診してください。
子どもの矯正では、“①歯並びを悪くした原因の除去と機能訓練”と“②顎の発育のコントロール”を行います。
悪い歯並びを、専門的には「不正咬合」といいます。虫歯や歯周病は、予防歯科の発達によりある程度予防できることが広く知られています。さて不正咬合は、予防できるのでしょうか?
虫歯や歯周病は、口の中の細菌が主な原因とわかっているのですが、不正咬合は、原因がおおまかにしかわかっていないので現状のところ難しいと思われます。
おおまかには、先天的原因と後天的な原因が考えられます。
先天原因には、受け口と呼ばれる反対咬合や歯の数の異常などは遺伝することがわかってます。
後天的な原因は、指しゃぶりや頬杖、口呼吸、などがあり、態癖(たいへき)と呼びます。癖をやめることと機能トレーニングをすることで無意識な状態でも良い習慣を身につけることが大切です。子どもから注意することでアゴや顔の成長を良い方向にすることができます。おとな矯正でも早い段階でやめることが治療の進行をスムーズにして後戻りの防止になります。
子どもの矯正では、すぐに1つ1つの歯を動かすことは行いません。叢生(らんぐい)があったとしても歯をすぐに動かすのではなく、今後全部の永久歯が生える顎の大きさがあるのかを考えて、アゴの幅を大きくしたりします。
また、かみ合わせは、上アゴと下アゴの前後や横の位置で決まってきます。成長のタイミングに合わせてより良いアゴの成長をコントロールしていきます。
叢生(らんぐい)の解消のために、拡大装置を使います。上アゴの骨は、小学校の高学年ぐらいまで骨縫合がくっついてないので骨ごと大きくすることができます。反面下アゴについては、全体の骨ごと大きくすることはできないのでガタガタがあったり、歯のサイズが大きいからといって際限なく拡大することはできません。
また、拡大に際して、いつも口をぽかーんと開いていたり、舌が歯を押す癖があったりすると上下の歯は前に出てきたり、開咬と呼ばれる奥歯がかんでいても前歯が上下に合わないという状態になります。そのため悪い癖がないかとか、上下のアゴの前後左右の関係をみながら広げる必要がでてきます。当院で使ういくつかの装置を紹介いたします。
イギリスのJohn Mew先生が開発された装置です。ぷらす矯正では、特にステージ1装置とステージ2装置を使い顎の容積を増やします。後天的な原因の口ポカーンや口呼吸の防止を促し、自然な成長を導きます。(私が共同翻訳した本と装置の写真)
いわゆる出っ歯と言われる上顎前突(2級咬合)の改善に行います。
反対咬合(3級咬合)で上顎の成長促進をはかります。口の中の装置と併用してゴムをかけます。家にいる時に使用します(就寝時を含めて10時間以上使用を推奨)
フランスのロレーン先生が開発した装置です。ポリ塩化ビニール製の既成のマウスピースです。子どものアゴのサイズと年齢や不正咬合に応じた種類があり、機能訓練を行いながらいくつか変えて使用してもらいます。
後天的な不正咬合の原因が複雑に重なってくることにより不正咬合が年々重度化していきます。
子どもの矯正をすることによって顎の成長に良い影響を与え、本来持っている自然な成長に戻すことができます。
成長の個人差がありますが、多くは小学校2、3年生からスタートします。子どもの矯正が効果的なのはEという乳歯が残っている場合で、残っていない場合は、成長を待ち、小学校高学年以降になってから、おとなの矯正で治療をスタートする場合があります。
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